こんにちは! ユメメです^^
今回は『ヒルガードの心理学』の第1編について書いていきます。
結局、心理学は何の役に立つの❓❓
このような方へ、
心理学のキホンから使い方まで解説します!
この記事では以下の4点について解説していきます。
- 心理学の特徴
- 心理学の範囲
- 心理学の歴史的起源
- 現代の心理学的枠組み
この記事を読むことで心理学の成り立ちを理解し、人の行動を心理学の立場から観察することができます。
それでは、始めましょう!
- 心理学のキホンを知りたい人
- 心理学を学んだことがあり、復習したい人
- 人の行動や感情を科学的に分析したい人
目次
チャート1 心理学の特徴
チャート1では「心理学とはどのような学問か?」を解説します。
突然ですが質問です。
もし、あなたの子供に本を読ませるにはどのようにしたら良いでしょうか?
1-1 ピザ計画
あるページまで読み終えたり、本を1冊読了したときに「ピザ券」を渡すことで子供はやる気を出すかもしれません。
これを、仮に「ピザ計画」と呼びましょう。
しかし、この「ピザ計画」は「心理学的に正しい」やり方だと言えるでしょうか?
本書「ヒルガードの心理学」では行動の理由について以下のように述べています。
人は自らの行動が何か外的で状況的な要因、
例えば、その行動がピザなどによって生じていると理解している場合には、内的で個人的な要因、
例えば活動に対する喜びなどについては全く考慮にいれないものである。
1 心理学の特徴より
本を読んだ後に報酬を与えることを続けた場合、
なぜ子供が本を読むかというと、ただ単に「ピザが欲しい」という外的で状況的な要因から行動しているだけになります。
決して「読書が楽しい」や「知識を身につけることが楽しい」といった価値観で本を読んでいるのではありません。
多くの場合、行動の動機付けは外的な要因である「報酬」です。
1-2 過剰な正当化効果
内発的な動機付けによらない「ピザ」のような報酬の阻害効果は過剰な正当化効果と呼ばれます。
過剰な正当化効果とは、行動の先にある報酬や状況の変化を評価するだけで、人格的な要因を全く考慮しない効果のことです。
子供に読書をさせるための「ピザ計画」は、短期的な効果は期待できますが、
- 子供がピザに関心を示さなくなった場合
- ピザが与えられなくなった場合
は読書をやめてしまい、継続的な効果を期待できません。
一方、辛い勉強でも人格的要因による行動、つまり自発的な行動に繋がる場合があります。
例えば、あなたが学校での授業を真面目に聞いているのは、あなた自身が「良い成績をとることに価値を置いているから勉強をしているのだ」と思っているかもしれません。
これも「ピザ計画」のように過剰な正当化効果といえるのでしょうか?
答えは『NO』です。
勉強を頑張ることには2つの理由が伴います。
- 成績が上がることに喜びを感じる
- 勉強そのものを楽しんでいる
つまり、「学習」には勉強することが目的となる人格的要因が含まれているのです。
目標の達成に向けて努力している方は、人格的要因をうまく活用して取り組みを継続しましょう!
そして、上では「なぜ人は勉強をするのか?」という例を見てみましたが、これに対する回答を求めて心理学の分野では多くの研究がされています。こんのように、心理学は学習に対する動機付けを科学的に分析しようと試みています。
そして、心理学の研究範囲は学習だけではなく、知覚や記憶、動機付けなどの研究を行っています。そう、心理学は私たちの生活における全ての疑問に影響する学問なのです。
「ヒルガードの心理学」を通じて人がなぜそのように生きるのか、幸福や不幸に対して、理解し、納得するための知識を紹介します。
チャート2 心理学の範囲
チャート2では心理学の研究対象について2つの例を示します。
心理学とは、行動と心的過程についての科学的学問と定義されます。
行動の前後にいかなる心的変化があったか、あるいは行動を誘因する心的影響はどのように測られるかを科学的に証明する学問です。
2-1 性格特性への原因帰属
あなたが街中で人混みを歩いているとき、歩く先に広告入りのティッシュを配る人がいる場面を想像してください。
広告の内容に全く興味がなく、ティッシュを必要としていない場合でも、あなたは
「無視してはかわいそうだな」
と思い善意で受け取るのではないでしょうか?
そして、受け取った理由は「周りの目や、配っている人の気持ちが気になったから受け取ったのだ」と解釈するでしょう。
これを、社会心理学者は基本的な帰属の誤りといいます。
基本的な帰属の誤りとは、基本的な帰属の誤りを過剰な正当化効果(読書に対するピザの報酬)と比較すると、自分の行動は状況的原因の方を過大に評価することを指します。
つまり、あなたの行動を作り出したのはあなた自身の意志ではなく、あなたを取り巻く環境によって誘因されたのだと評価してしまうのです。
例えば、床のゴミを拾ってゴミ箱へ捨てる行為は
「ゴミを捨てるために拾った」のに、
「ゴミが落ちているから拾った」と解釈してしまいます。
多くの場合、基本的な帰属の誤りによってゴミがあるという状況が行動を誘発させたと考えてしまうのです。
良い行いに対しては、もっとあなた自身や周りの人を褒めてあげてください^^
2-2 肥満
肥満は心理学の分野でも研究対象とされます。
世界・成人の肥満率ランキング(WHO版)によると、
アメリカ人の肥満率は31.8%
日本人の肥満率は4.5%です。
多くのダイエット商品やジム、フィットネスが出回る日本だからこそ4.5%という肥満率なのかもしれません。
アメリカでは「およそ3人に1人が肥満」という状況で、肥満は社会保障や医療の逼迫を招き深刻な社会問題となっています。
心理学者は、このような「人が過剰に食べてしまう要因」にも注目しています。
肥満になる要因として考えられるのは摂食遮断の経験です。
摂食遮断について、ラットの実験があります。
- ラットに食べ物を与えない期間を設ける。(摂食遮断の経験)
- 標準体重に達するまで食べ物を与える。
- 食べ物を好きなだけ与える。
この実験を行ったとき、摂食遮断の経験を持つラットは摂食遮断の経験を持たないラットに比べて③で多くの食べ物を食べる傾向がありました。
今我慢できないのは「自分が流されやすいから」ではなく、「過去の経験が現在の行動を左右しているから」です。
チャート3 心理学の歴史的起源
チャート3では心理学が発展した歴史的経緯を辿ります。
心理学の起源は紀元前4世紀から5世紀の古代ギリシャ時代まで遡ります。
中でも、以下に挙げる彼らは心理学の発展に寄与したもっとも有名な哲学者として知られています。
- ソクラテス
- プラトン
- アリストテレス
彼ら哲学者は精神的生活に根本的な疑問を呈しました。
「自我とは?」
「意識とは?」
「死とは?」
数千年前のこれらの疑問は、精神と心的過程の性質を扱ったものであり、心理学の研究において現在でも重要な要素でもあります。
彼らの観察が心理学における生物学的アプローチの道筋を開いたと言えるでしょう。
3-1 遺伝-環境論争
人間の心理学における初期の論争の1つは「遺伝-環境論争」です。
人間の能力は生まれ持って身につけたものか?(生得説の見方)
あるいは、さまざまな経験を通じて身につけたものか?(経験説の見方)
という議論です。
そして、人の能力は経験を通じて獲得されるとした「経験説」を支持していた代表的な人物がジョン・ロックです。
ロックによれば、人間の心は「タブラ・ラサ」つまり、何も書かれていない石板であり、その個人の成長過程での経験を「書き込む」ことで能力を身につける。
と唱えています。この「タブラ・ラサ」の思想はのちに連合主義心理学を生み出しました。
連合主義心理学とは、生得的な能力獲得を否定し、人の能力は全て人の成長過程の「知覚」や「感覚」「認知」などの経験によって獲得されるとしたものです。
「感覚」や「行動」、「注意」などを研究対象とする現代の科学的心理学の幕開けです。
3-2 構成主義と機能主義
19世紀に化学は急速に発展しました。
「水」というモノは「H:水素」と「O:酸素」という原子に分解できることを発見し、あらゆるモノが化学式で表現できることを突き止めました。
例えば、ホットコーヒーを思い浮かべてください。
暖かいコーヒーを飲むと温度、苦味、香り、舌触りといった知覚を得ることができます。
そして、人の心を扱う心理学者も化学者と同様に考えました。
心的要素を分析する上で、ホットコーヒーのように「人の心は要素に分解することができる」とする主張が生まれたのです。
これを構成主義といいます。
- 構成主義の先進的な研究はコーネル大学の心理学者ティチェナーによってなされました。
- 一方、「意識の要素を分析するよりも、その可変的な個人の性質を理解する方が重要である」とする機能主義が同時期に唱えられました。
構成主義と機能主義は20世紀の心理学の初期の発展に大きな役割を果たしていきます。
3-3 科学的心理学における3つの「学派」
人の心は要素に分解して分析できるとした構成主義
「個々の要素」を排除して人物全体の観察こそ重要であるとした機能主義
この二つの立場は20世紀初期の科学的心理学において3つの「学派」へと変容しました。
すなわち、行動主義、ゲシュタルト心理学、精神分析です。
行動主義とは、ジョン・B・ワトソンにより創始された一つの体系です。
ワトソンは、心理学は科学であるためには、物理や化学と同様に公共の閲覧に開かれていなければならないと考えました。
「意識」は私的なものであり、「行動」は観察可能であるるため公共的なものであるとして、科学は公共的なものだけを扱うべきとした立場を示しました。
ゲシュタルト心理学とは、アメリカで行動主義が流行していた頃、マックス・ウェルトハイマーらによってドイツで提唱された一体系です。
こちらの図を見て見ましょう。
私たちは、「3つの折線」と捉えるのではなく、「一つの三角形」として認識します。
ゲシュタルト心理学の関心は主に知覚にあり、全体はその部分の総和ではなく、部分の相互の関係に依存している。とした立場をとっています。
精神分析はジークムント・フロイトによって提唱された人格に関する理論です。
フロイトの理論の中心は無意識の概念にあります。つまり人の「思考」「衝動」「感情」「願望」は無意識のうちに働くということです。
フロイトは、「幼少期の抑圧された願望が無意識の中に残り続け、現在の行動に影響を及ぼし続ける」と主張しています。
この3つの学派をもとに、
20世紀以降、コンピューターや電子機器の開発により心理学はますます発展を遂げていきます。
チャート4 現代の心理学的枠組み
チャート4では、人の行動を5つの心理学的枠組みから説明する方法を解説します。
心理学的枠組みとは、
さまざまな問題を心理学の観点から調べるやり方で、すなわち、研究の手法のことです。
4-1 心理学的枠組み
心理学における精神分析は5つの枠組みからアプローチされます。
5つの枠組みから行動を分析することで「なぜ、そのように振る舞ったのか?」を5つの異なる立場から説明することができます。
例えば、
あなたが部下のミスに激昂して怒鳴った場合を考えて見ましょう。
行動的枠組みからは、「再度同じミスをさせないため、部下に対して怒ることで注意を促すために怒鳴った」と説明します。
一方、生物学的枠組みからは、「脳内にストレスホルモンであるコルチゾールが分泌された結果怒鳴った」と説明します。
5つの枠組みを理解して、「人の行動」の原因を多角的に分析しましょう!
4-2 精神分析における5つのアプローチ
心理分析における分析の5つのアプローチを解説します。
生物的枠組みとは、「行動と心理的過程の基礎となる神経生物学的過程の理解」です。
外的な行動を電気的、あるいは化学的事象に結びつける考え方です。
【例】
熱いヤカンを触って「熱さ」を感じた場合、生物的枠組みで説明すると、脳の一部である大脳皮質に電気信号が送られたためと説明します。
行動的枠組みとは、「条件づけと強化による観察可能な行動の理解」です。
全ての行動を強化の産物として捉える考え方です。
【例】
あなたがタバコを吸う場合、行動的枠組みで説明すると、タバコを吸うことで「落ち着く」という過去の経験によって行動が強化され続けた結果と説明します。
認知的枠組みとは、「知覚、記憶、推論、決定、問題解決などの心的過程とそれらの行動との関係についての理解」です。
認知的枠組みは、コンピュータの処理のように例えられました。入ってくる知覚情報が過去の経験や記憶と融合、結合され出力される。と例えられたのです。
【例】
綺麗な田園風景を見た時に懐かしさを感じた場合、認知的枠組みで説明すると、幼少期に田舎の祖母の家を訪れた経験が再起され「懐かしい」という感情を呼び起こしたと説明します。
精神分析的枠組みとは、「性や攻撃衝動的による無意識の動機による行動の理解」です。
つまり、あらゆる行動は無意識の過程によって誘発されるという考え方です。
【例】
山道で蛇を見て恐怖を感じた場合、精神分析的枠組みで説明すると、幼少期に蛇に噛まれて痛い思いをしたためその時の恐怖体験が無意識に呼び起こされた結果と説明します。
主観主義的枠組みとは、「自発的に構成された主観的現実による行動と心的過程の理解」です。
つまり、行動は知覚された情報によって行動が誘発される。とした考え方です。
【例】
街で慈善募金に寄付する人を見た場合、主観主義的枠組みで説明すると、「募金を募る人がいる状況」が「募金する」という行動を誘発したと説明します。
自分の行動を変えたい時や、過去の行動を振り返る時には、
5つの枠組みを活用することで行動の裏にある「原因」を分析しましょう。
最後に
今回は『ヒルガードの心理学』について紹介しました。
ここまでの話をまとめると以下の通りです。
- 心理学は「知覚」や「記憶」「学習」の分析を通じて心的な探究を行う学問で、私たちの生活における全ての疑問に影響する学問です。
- 行動の前後にいかなる心的変化があったか、あるいは行動を誘因する心的影響はどのように測られるかを実験によって科学的に証明する学問です。
- 心理学の起源は紀元前4世紀から5世紀の古代ギリシャ時代まで遡ります。20世紀前半の3つの学派をもとに、現在の心理学研究が進められています。
- 人の行動は5つの心理学的枠組みから説明できます。これらの立場から行動を観察することで、行動の裏にある「原因」を分析しましょう。
「飲食店でマナーの悪い客」
「平気でポイ捨てをする人」
人はなぜあのように行動するのだろう?
このような疑問は誰しもが抱いた経験があるかと思います。このような疑問に答えを提示してくれるのが「心理学」です。
心理学は人の心に影響する要因を実験によって科学的に証明する学問です。
心理学を理解し日常に落とし込むことで、あなたが疑問に思っていることや、あなたの不安の解消に役に立つと信じています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
by ユメメ (╹◡╹)
心理学ってなんだか難しそう🥲・・